圧縮処理等を活用した県産材の性能向上技術の開発

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圧縮処理等を活用した県産材の性能向上技術の開発

[出典]
  • 渡部 秀行・遠藤 啓二郎
  • 圧縮処理等を活用した県産材の性能向上技術の開発
  • 2011年11月
  • 福島県林業研究センター研究報告 = Bulletin of the Fukushima Prefectural Forestry Research Centre

福 島 繋 林 業 研 究 セ ン タ ー 研 究 報 告 第 4 4号 2 0 1 1
研究報告
圧縮処理等を活期した県産材の性能向上技術の開発
( 県 単 課 題 平 成 18′”‘-’22年)
渡 部 秀 行
遠藤啓二郎弓

目 次

要 旨
I はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
Ⅱ 表面圧密処理材の寸法安定性の把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・ 52
1 試験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
2 結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
Ⅲ 常温圧密処理が乾燥性および樹脂等の薬液浸透性に与える影響調査・・・・・・・・・・ 54
1 試験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
2 結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
Ⅳ天然系樹脂等の組み合わせによる表面保護効果の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
1 試験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
2 結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
V 熱ロールプレス処理材の床暖房用フローヲングとしての適合性試験・・・・・・・・・・・・・・・ 58
1 試験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58
2 結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
VI おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62
VII 引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62

要 請
県産スギ材をタト装材や内装材の床暖罪用フローリングに利躍するため、熱ロールプレス処理による表問圧密処理材の製造条件検討と性能評価を行い、以下の結果を得た。
(1)スギ熱ロールプレス処理材の水中浸せきにおける材厚の回復率は、辺材よりも心材の方が小さい値を示し、熱ロールプレス処理前の試験片初期含水率が 0~12%範囲では、水率が高いほど心辺材の回復率の差は大きい傾向があった。処理後の木材に外圧をかけて圧力を除いた時に反力により戻った量(以下スプリングバック量という)は辺材よりも心材ーが高い値となった。
(2)耐水性と 耐候性を向上させることを目的として乾性油を塗布後、熱ロールプレス処理を行った結果、基材の表面性状でラフソーン表面処理がプレーナー表面処理より、少ない塗布回数で、耐水性を確保できることがわかった。
(3)乾性油塗装及び熱ロールプレス処理材のウェザーメーターによる促進耐候試験の結果では、アマニ出及びエ油と比較して、キリ油が耐候性に優れるものと判断された。また、キジ油を塗布処理してから熱ロールプレス処理を行い、市販木材保護塗料を上塗り装した場合、促進耐候性試験 1,000時間後の色差が 4.0 と比較的良好な結果を示したが、屋外爆露試験では、 12 ヶ月後 に全数で表面汚染の発生が認められ、屋外利用は困難であることが判明した。
(4)スギ材を床暖房用フローリングとして利用するため、熱ロールプレス加工による効果の確認試験を実施した結果、熱ロールプレス加工は、処理を行わない場合と比較して、隙間最が小さい値で推移することを確認した。フローリング材の木取り(心 材・辺材)による選別を行い、人工乾燥直後の板材の含水率管理を厳密に実施することにより、隙間の発生量を低減することが可能であることがわかった。
県内関係企業の協力を得て、スギ床暖房用フローリングの実用化試験による熱ロールプレス圧密処理、木取り方法等による検討を実施した。スギ床暖房用フローリングは心林部を使用し、熱ロールプレス処理した条件において、日本フローリング工業会の適合準 (0.7mm以下)と判断される試験結果を得た。

I はじめに
近年、スギの丸太価格は安価で推移し、林業にとっては蔽しい状況が続いている。地球温暖化防止や循環型社会形成の観点から、スギの用途拡大及び高付加価依化をするため積極的に利用する必要がある。
本研究は県産スギ材を内装材として出来る限り簡便でかつ環境負荷を軽減した処理を行い、熱ロールプレスによる加工を応用した高付加価値化技術を開発することを目標として実施した。
スギ材は一般建築用材に広く利用されており内装材としても十分利用できるが、他の樹種に比較して材が柔らかく加工が容易なため早材部において軽く爪を立てた程度で傷がつくことが内装材としての用途拡大の課題となる。表面圧密処理には熱平板プレス処理と熱ロールプレス処理とがある。 熱ロールプレスによる処理は、比較的簡便な装置で表層部のみを選択的に圧密できる点、及び長尺材を連続加工できる点において熱平板プレス処理より優れている。熱ロールプレス処理は、表面硬さや鏡面光沢を向上させ加工品は既に実用化もなされている。 また、熱ロールプレス処理は、ロール温度等の加工条件によっては、木目を強調させることや材の着色が可能であり、通常のスギとは異なる質感を付与させることができる。
本研究は、熱ロールプレス処理によるスギ住宅内装材の付加価値を向上させることを目的として、福島・山形・新潟三県共同研究開発事業(平成 15~17年度)において実施した 「 スギ等針葉樹への機能性付与による新用途 開 発 (表面圧密処理技術の開発)を継続し、課題として残された耐候性、寸法安定性、乾燥性、薬液等浸透性の検討を行うとともに、外壁材や床暖房フローリングとしての実用化のため性能評価を実施した。

Ⅱ 表固圧密処理材の寸法安定性の把握
1 試験方法
熱ロールプレス処理科は、庄密処理条件により木材が水分を吸収して材厚が回復してしまう危険性を有するため、異なる処理条件により吸水・乾燥試験による寸法安定性を評価した。スギ材を心材と辺材に分け、各々の部位について板目試験片(厚さ 12X 高 70X長さ 150mm) を作成し、試験片の初期含水率を 0、4、8、 12% に調整した。試験片を図 – 1及び表-1に示した熱ロールプレス機(菱明技研製)を用いて厚さを12から 10mmに厚密処理した。
圧密処理条件はロール表面温度を240、260、280、300 ℃の 4段階とした。ロール周速度を 5cm/分とし、常温(約 20 ℃)で 24時間浸せきした材を恒温恒湿器で 40℃、65%、2週間調湿乾燥し、材厚を測定した。

 

2  結果および考察
表-2に熱ロール処理後のスプリング、パック量を示す。スプリング、パック量(圧密処理後材厚-10mm)は試験供試片の初期含水率により差が認められ、 240~ 300℃の範囲のロール温度では、温度が高いほどスプリソングバック量が小さかった。心材と辺材の部位別では、両部位とも関じ傾向が見られた。ロール通過後のスプリングパック量はロール温度、含水率別条件ともに心材が辺材よりも高い値となった。
表-3に吸水・乾燥試験による材厚の剖復率を示す。吸水・乾燥試験による材厚の回復率[ (圧縮前処理材厚-圧縮後処理材厚) / (庇縮後処理材厚- 浸漬・乾燥後処理材厚)X 100 (%) ]は、初期含水率 0%の試験片が小さい傾向と見られた。ロール温度の設定範囲では、温度が高いほど回復率が小さい傾向が見られた。心材と辺材の部位別では、同様の傾向が見られたが回復率は心材が小さい傾向が見られた。以上の結果から、熱ロールプレス処理前の材の含水率は 12% (気乾材)がスプリングバック量、吸水による材厚への影が小さい結果が得られた。スギ心材は辺材より熱ロールプレス処理後の材の変化量が少ないと考えられる。また、熱ロールプレス温度では温度が高いほどスプリングバック量及び吸水による材厚の影響が小さい結果が得られた。しかし、熱ロールプレス温度が高温になるほど材色が暗色になるため、用途によって温度を調整する必要がある。

 

Ⅲ 常温庇密処理が乾燥性および樹脂等の薬液浸透性に与える影響調査
1 試験方法
ロールブレス処理における加熱によるスギ材表面の色調変化が許容できない用途に対応するため、常壌のローノレプレス処理材において、試験材表面の表面処理が薬液凌透性にえる影響を評締した。スギ心材板目板 (材厚llX材幅 70 x 長さ350mm) をラフソーン表面処理(帯鋸加工)及びプレーナー表面処理(鉋加工)した2種の試験片を作成した。常混のロール経500mmの 熱 ロ ー ルプス機を用いて周速度2.4m/分 、庄密量1.2mmの条件で面処理方法が異なる 2種の試験片の各々半分を圧密処理し、 ロールプレス処理区と無処理の試験区を設定した。処理方法が異なる4種の試験片の木口面をシールして、乾性油 ( キリ油 )およびパテントブルー水溶液に常温下で浸せきした。定期的(15分、 l、2、4、24時間)に重量を測定して薬液の浸透性を評価した。
2 結果および考察
図 2に表面処理方法及び常温庄密処理の有無による 4種 の試 験 片 に お け る パ テ ン ト ブルー溶液の浸透最の変化量を示す。パテントブルー溶液の浸透量、浸せき 5時間まで急に増し、その後漸増した。表面処理方法についてはラフソーン表面処理材がプレーナー処理材より浸透量が大きかった。常 温 ロール処理の有無については、処埋区の浸透量が大きかった。 図- 3に表面処理方法及び常温圧密処理の有無による4種の試験片におけるキリ油の浸透量を示す。キリ油の浸透最は、パテントブソレー溶液と向様浸せきを 5時間 まで急増 し 、 その後漸増し、ラ フソーン処理がプレーナー処理より浸透量が大きかった。常温ロール処理については、パテントブルー溶液と異なり処理効果が不明瞭であった。
以上のことから、本試験の設定区では薬液の浸透量を増加させるには常温圧密処理はラフソーン処理した後に、パテントブルー溶液で少なくとも5時間以 上浸せきをすることが有効と考えられる 。

N 夫然系樹脂等の組み合わせによる表富保護効果の検討
1 試験方法
(1) 3種の乾性油塗布及び熱ロールプレス材による促進属候性試験
ラフソーン表面処理材を熱ロールプレス処理前 iこ乾性油を表面保護効果を評価するためウェザーメーター(スガ試験機製)による促進酎候性試験を行った。
材表面をラフソーン表面処理したスギ心材部の板目試験片(厚さ 11 x幅 75x長さ 150mm)にアマニ油、エ油、キリ註!の 3撞の乾性能をそれぞれイソパラフィン溶液 50%で希釈したものを塗布処理し、 240 ℃、周速度 0.5m/分、厚密量l.5mmの条件で熱ロールプレス処理した。 3種の処理材について、ウェザーメーターによる促進耐候性試験 (500時間)に供した。対照区としてラフソーン表面処理し 3種の乾性油を塗布後、熱ロールプレス処理を行わない区を設定した。また、乾性油を塗布し、熱ロールプレス処理を実施後、市販の木材保護塗料(a社製)を上塗りした場合における性能も併せて評僻した(1,000時間)。
色差は COLOR READER (ミノルタ製)を黒いて L ・ a・b表色系で測定した。
(2)キリ油塗布及び熱ローノレプレス処理材による野外爆露試験
ラフソーン表面処理材を熱ロールプレス処理する前にキリ油を表面保護塗布した試験片による屋外暴露試験を実施した。
ラフソーン表問処理した板目試験片(厚さ 11 x rt高75x長さ 1501l11l1)を表 4に示す条件で乾性油(キリ油)と市販の木材保護塗料を組み合わせて塗布し、 240℃、周速度 1m/分、任密最l.5mmで、熱ロールプレス処理した。一般的な処理として、プレーナー表面処理材に木材保護主主料を 3回塗りした試験区を設定して比較した。

(3)キリ油 及び熱ローノレプレス処理材の外接パネルによる屋外爆露試験
ラフソーン表面処理材を熱ロールプレス処理する前にキリ油を表面塗布し、外壁パネルにより評価するため、屋外曝露試験を実施した。
供試材はラフソーン表面処理したスギ板目試験材のサイズは厚さ19.5X幅151mmX長さ910mm とした。キリ油を塗装し 240℃、周速度 1m/分、庄密量 1mm とした。熱ロールプレス処理材は、熱ロールプレス処理後の試験片をさらにキリ油塗装を 2回行ったちB区、木材保護塗料塗装を 2回行った E区を設定した。また、熱ロールプレス処理前にキリ油塗布を行わずに熱ローノレプレス処理後にキリ油塗装を 3回行った C区、木材保護塗料塗装を 3回行った D区を設定した。さらに、ラフソーン表面処理材にキリ油塗布及び熱ロールプレス処理しないで直接キリ油塗装を 3回行った A区、木材謀議塗料を 3回塗布した F区を設定し、表-5に示す 6種の試験区を設定した。 l試験区 10枚ずつ外壁ノfネノレに接著し、屋外(林業研究センターの敷地内)指向きに垂直に設置し、定期的に色差、表面汚染の発生状況を調査した。

2 結果および考察
(1) 3種の乾性拙塗布及び熱ロールプレス材による促進酎候性試験
図-4に乾性油の種類及び熱ローノレプレス処理の有無が色差変化に与える影響を示す。
乾性油塗布後の熱ロールプレス処理の効果は、キリ 油とエ油ではみられたが、アマニ油ではみられなかった。本試験で用いた乾性出ではキリ油の塗布効果が大きく、熱ロールプレス処理によりさらに色差変化が小さくなることが明らかとなった。
国一 5にキリ油及び熱ロールプレス処理後の木材保護塗料上塗りが色差変化に与える影響を示す。キリ j白塗布設熱ローノレプレス処理を行い、さらに木材保護塗料を上塗りすることにより促進耐侯性試験 1,000時間経過後の色差変化を 1/4程度に低下できた。なお、木材保護塗料の使用料を 1/4程度軽減できる点において有意性があった。

(2)キリ油塗布及び熱ロールプレス処理材による野外l暴露試験
表 -6にキリ油及び熱ロールプレス処理後に木材保護塗料を塗布した試験片における
屋外曝露試験結果を示す。 下地剤としてキヲ油を塗布した場合 (A、 B、 C、 D 、 E 思)、
12 ヶ月後には試験区の全てで表面汚染(カピ)の発生が認められ、機水浸は表面汚染と
ともに徐々に低下し、熱ロールプレス処現を行っ試験区が行わない試験区と比較して色
差変化が小さい結果となったが、これは、熱ロールプレス処理によって表層が圧密されることにより、木材保護塗料の塗膜形成がされやすくなったことに起因すると推定する。材厚、撥水度についてはし、すとれも試験区間で大きな差はみられなかった。以上の結果、キリ油塗布及び熱ロールプレス処理材は屋外利用が困難であることが判明した。(写真-1)

(3)キ リ 油 塗 布 及 び 熱 ロ ー ル プ レ ス 処 理 材 の 外 壁 パ ネ ル に よ る 屋 外 曝 露 試 験
図 6にキリ油及び熱ロールプレス処理材の外壁パネルの野外曝露試験における急惹変を示す。最終塗布剤としキリ油 を 用 い た A、 B、 C区 は 、 木 材 保 護 塗 料 を 用 い た D、E 、 F区より 24 ヶ月経過時における色差変化量が大きかった。色差の変化最が比較的小さな D、E、F区では後に木材保護塗料を 2回 塗 布 し た E区が急差の変化量小さかったし か し 、すべての試験区において表面汚染 (カビ ) が認められ、試験片により屋外曝露試験を行った (2) の A~F 区と同様様にキリ出塗布及び熱ロールプレス処理材は屋外利用が困難であることが判明した。

V 熱 ロ ー ル プ レ ス 処 理 材 の 沫 援 房 罰 フ 口 -1)ン グ と し て の 適 合 性 試 験
1 試 験 方 法
( 1 ) 試験の目的
床暖房用のフローリング材には広葉樹材等の表面が硬く、寸法安定性の高い樹種が使用さ れている。スギ材を床暖房用に用いた場合は境界面の隙間や段差、材表面のそりの発生がみられる不具合発生が少なくない。そこで本試験はスギを床暖房用フローリングに利用するため熱ロールプレス処理を行い、寸法安定性への影響を確認した。

床暖房用フロージング材の寸法安定性の確認方法は日本フローリング工業会の規格「床暖暖房として使用する単層フローリングの試験基準」(以下試験基準とする)に従って行い、床暖房用フローリング材の評価要因である隙間量、 幅ぞり量、段差量の 3 点について測定を行った。
(2) 試験材の作成
スギの単板を人工乾燥後に厚さ 18 x幅 90 x さ 1,820 mm に製材し、埋木、実加工 、 裏面塗装 (フローリング材の一般的な塗料であるuvウ レ タ ン 塗 料 を 使 用 ) 、 表部サンダー仕上げ後熱ロールプレス処理 (240℃、舟速度 2m/分、密量1.5mm) 後 、 表面塗装を順次行い試験材とした。試験材 9枚を l組として、接者剤と釘を併用して厚さ 5.5mm の合板に貼りつけ、空調施設内の電気式床暖房シート上に配置した(写真-4)。

(3) 床暖房試験の条件
試験は設定混度 18℃、湿度 30~ 60 %に管理した簡易空調路設内で実臆した。床の条件は試験基準に基づき経時的に測定した。
(4) 隙間最、 幅ぞり量及び段差の測定方法
隙間最はフーローリング材開の隙間隔を隙間ゲージ、幅ぞり量はブーローリング材表面の幅ぞりを幅ぞりゲージ、段差量はフーローリング材聞の段差を幅ぞりゲージで測定した。
(5) 比較試験区の設定
試験区を表- 7に示す。試験は の①、②について陪一温湿度、暖房条件下で 3年間実施した。
①熱ロールプレス処理の有無による比較試験
心材・辺材混合(心材部分と辺材部分の混じった試験材)試験材 lこ無処理の A区、及び、熱ロールプレス処理を行った B症の 2種類の試験症を設定し、隙間量、幅ぞり量、段を比較した。
②熱ロールプレス処理を行った辺材部を製材した試験材と心材部を製材した試験材による比較試験
心材部を製材した試験材に熱ロールプレス処理を行った C区と辺材部を製材した試験科に熱ロール処理を行った D区の 2種類の試験区を設定し、隙間量、幅ぞり量、段差量を比較した。

2 結果および考察
床暖房用フローソング試験基準における適合基準値は隙間量が 0.7mm以ド、 幅ぞり量が0.1 mm以下、段差是が 0.2 mm以下と規定されている。以下、この基準値により総定値を評価した。
①熱ロールプレス処理の有無による比較試験
図-7に心材・辺材混合試験材における熱ロールプレス処理の有無が隙間量へ与える影響を示す。隙間量は熱ロールプレス処理を行った B区が熱ロールプレス処理を行わなかったA 区に比較して小さい植で推移した。隙間最の最大髄は A 区、 B 区ともに適合基準値以下であった。
図 -8に心材・辺材混合試験材における熱ロールプレス処理の存無による幅ぞり量へ与えるの影響を示す。 幅ぞり量はA区とB区の間に差が見られず最大直は適合基準値以下であった。

図 -9に心材・辺材混合試験材における熱ロールプレス処理の有無による段 へ与える影響を示す。段差是は熱ロールプレス処理を行った B区は熱ロール処理を行わなかったA 区に比べて小さい値で推移した。最大値はA区 B区とも適合基準値以下であった。
以 上 の 結 果 か ら 、 スギ材は熱ロールプレス処理を行わなくとも隙間量、幅ぞり量、段差量が適合基準値以下であったが、同処理を行うことで寸法安定性が向上することが明らかとなった。

②辺材と心材の熱ロールプレス処理による比較試験
図-10に熱ロールプレス処理を行った辺材と心材による隙間量への影響を示す。心材のD区の隙間最は辺材のC区に比較して小さい値で推移し、全期間を通じて適合基準値以下であった。 C区は最大値が 0.77mm と適合基準の 0.7mmを超過した。これは人工乾燥直後の含水率が平均 10.2%とやや高い値であったためと考えられる。
図- 11に辺材と心材の熱ロールプレス処理による幅ぞり量への影響を示す。幅ぞり量は試験区間に差は見られず、最大値はいずれの区も適合基準値以下であった。

図-12に辺材と心材の熱ロールプレス処理による段差量への影響を示す。段差量は試験区間で差は見られず、最大値はいずれの区も適合基準値以下であった。
以上の結果から、スギ材における熱ロールプレス処理は辺材部で寸法安定性の効果が高いことが明らかとなった。

VI おわりに
本研究を進めるにあたり、ご指導いただきました産業技術研究所中部センターサステナブルマテリアル研究部門木費材料組織制御研究グループ長の金山公三先生、スギ床暖房用フローリングに関する研究おいて資材の提供、加工に協力をいただきました江戸川ウ ッドテック株式会社に厚く御礼申し上げます。

Ⅶ 引用文 献
1)井上雅文、足立幸司、 大 前 宏 輔 、 小 原 光 博 ほ か 木 材 学 会 誌 51(2) ,P104-109(2005)
2) 中山信吾、岸 久雄
三重県科学技術振興センター工業技術総合研究所研究報告25,P67- 69 (2001)
3) 遠 藤啓二郎、青砥裕輝、渡部秀行、高信則男 ほ か
福島・山形・新潟三県共間研究研究成果報告書,P50-61(2006)
4) 飯 田 生 穂 、 高 山 知 香 子 、 宮 川 修 、 今 村 祐 嗣 木 材 学 会 誌 38(3)ラP233-240(1992)
5) 酒 井 鼠 子 、 伊 藤 貴 文 奈 良 県 森 林 技 術 セ ン タ ー 研 究 報 告 34,Pll1ぺ16(2005)
6) 藤澤泰士、鷺岡雅 富 山 県 林 業 技 術 セ ン タ ー 研 究 報 告 15,P33-39(2002)